ユニ・チャームの生理・体調管理アプリ「ソフィBe」のCM「正体不明のイライラ」篇が、SNSを中心に「嫌い」「不快」「見ててイライラする」と話題になっています。晴れた朝、彼氏が手作りの朝ごはんを差し出した瞬間に「いらない!」と高圧的に返す彼女の姿が、共感を呼ぶ声がある一方で強烈な嫌悪感を生んでいるのです。出演する湯川ひなさん・長友郁真さんというやや無名の俳優陣の起用も含め、このCMが仕掛ける戦略を多角的に考察します。

「正体不明のイライラ」篇とは?CMの内容と基本情報

企業名 ユニ・チャーム株式会社(本社:東京都港区)
商品名 生理・体調管理アプリ「ソフィBe(ソフィビー)」
CM名 「正体不明のイライラ」篇(WEBCM)
キャスト 湯川ひな(彼女役)
長友郁真(彼氏役)
放送開始 2025年11月 ユニ・チャーム公式YouTubeチャンネルにて公開

CMのストーリーは、快晴の穏やかな朝。同棲中の彼氏(長友郁真さん)が手作りの朝ごはんを持ってきて「朝ごはん食べる?」と声をかける。すると彼女(湯川ひなさん)は謎のイライラを抱えた表情で「いらない!」と言い放ち、去ってしまうというものです。その後「これってPMS(月経前症候群)のせいかも」という流れでソフィBeアプリの訴求に繋がる構成になっています。

穏やかな天気・彼氏の善意・なんでもない一言という”完全に悪いところのない状況”で勃発するイライラを描くことで、「心当たりがある」という女性の共感と、「なぜ怒られるの?」という男性・第三者視点の違和感の双方を同時に引き出す仕掛けになっています。

「嫌い」「不快」「嫌悪感がある」——視聴者の反応を整理する

否定的意見:「見ててイライラ」「モヤッとする」「こんなふうにはならない」

  • 「生理前でもこんなふうに彼氏に怒鳴ったりしない。これを見て”あるある”と思う女性が多いとしたら、それはちょっと違うと思う」
  • 「朝ごはん作ってくれた彼氏に高圧的な態度で”いらない!”って…見ててイライラするし、彼氏が可哀想すぎる」
  • 「生理前だからって何でも許されるみたいな雰囲気が嫌。PMSを理由に攻撃的な言動をしていいという誤解を与えそうで不快」
  • 「あの怒り方、生理関係なく単なるモラハラでは?と思ってしまう。CMの意図はわかるけど、なんか嫌悪感がある」
  • 「ソフィBeのCM、あの彼女の態度がとにかく不快。商品の訴求はわかるけど見ていて気分が悪くなった」
  • 「女性のPMSをこういう形で描くのって、男性側の”女性は生理前は怖い”という偏見を強化しそうで怖い」
  • 「生理前の女性への理解を広めたいCMなのに、見た人がモヤッとする作りになってるのは逆効果じゃないの?」

https://twitter.com/tamac0tto/status/2033684325045309516
https://twitter.com/shariosushi/status/2033077338590818777

ウサギさん
「こんなふうにはならない」っていう声、女性からも結構出てるのが興味深いよね。PMSで感情が揺れるのはわかるけど、あそこまで高圧的な態度というのは自分に当てはまらないって感じてる女性も多いみたい。
カエルさん
そこが難しいところだよね。PMSの症状は本当に人それぞれで、症状の強い人にとっては「あるある」でも、症状が軽い人には「誇張しすぎ」に見える。一つの症状パターンをCMで強調すると、あらゆる人の「生理前」を同じものとして見せてしまうリスクがある。

肯定的意見:「心当たりがある」「彼氏に見せたい」「演技がリアル」

  • 「あのCM、見た瞬間に”あ、わかる……”ってなった。理由もわからないのにイライラして、後から罪悪感になるやつ。まさにあれ」
  • 「彼氏に見せたくてLINEで送ったら”こういうことなんだね”って理解してくれた。PMSの説明をするより効果的だった」
  • 「あの女の子の演技、すごくリアル。怒りながらも自分でも戸惑ってる感じが出てて、”正体不明”のイライラを体現してた」
  • 「ソフィBeのCMで初めてPMSという言葉をちゃんと知った。アプリ入れてみようと思った」
  • 「生理前の自分が一番嫌いで、毎月後悔する。あのCMを見て、それを記録して把握するっていう発想があるんだと知れてよかった」
ウサギさん
「彼氏に送ったら理解してくれた」って使い方、すごくいいよね。言葉で説明するより映像で見てもらう方が伝わりやすいし、そういう使われ方をされてるなら広告としての目的は十分果たしてると思う。
カエルさん
演技のリアルさへの評価も見逃せないよね。「正体不明のイライラを体現してた」っていう感想、CMとして最高の褒め言葉だと思う。嫌悪感を持つ人も、演技の質の高さには気づいてるんじゃないかな。

「高圧的な彼女描写」批判の構造とソフィBe CMの戦略を考察する

「嫌悪感を生む描写」が意図的に選ばれている理由

このCMで最も論争を呼んでいるのが、「晴れた日の朝ごはんを断る」という、見ていて思わず「なんで?」と感じる場面です。悪天候でもなく、二人が喧嘩しているわけでもなく、彼氏が何か悪いことをしたわけでもない。それでも彼女がイライラしてしまうというのが、このCMの核心です。

実はこの「理由のないイライラ」こそがPMSの本質的な症状です。PMSは生理前のホルモンバランスの急激な変化によって引き起こされる精神的・身体的症状の総称で、産婦人科診療ガイドラインでは「生理前3〜10日の間に発症し、生理が始まるとともに軽減するもの」と定義されています。その症状には気分の落ち込み、集中力の低下、そして「特に理由のないイライラ」が含まれます。

つまり視聴者が「なぜ怒るの?」と感じる違和感こそが、PMSのリアルな描写なのです。その描写が視聴者を不快にさせながらも「あ、これPMSか」という気づきに繋げる構造になっています。

批判の「PMSを口実に攻撃的でいい」論について

「PMSを理由に攻撃的な言動を正当化するような描写はよくない」という批判は、一定の妥当性があります。このCMの描写に対して「免罪符的なPMS表現」という見方を持つ視聴者がいることは、ユニ・チャーム側も想定していたはずです。

しかし重要なのは、このCMがPMSを「言い訳として使う描写」ではなく、「自分でも原因がわからないイライラに戸惑っている女性」の描写として設計されている点です。「正体不明の」という言葉を篇名に使っていることからも、彼女自身がなぜイライラしているのか把握できていない状態——つまりPMSに気づいていない段階——を描いていると読めます。アプリで記録・把握することで「これはPMSだった」と後から気づくという体験を商品コンセプトで提案しているわけです。

ユニ・チャーム「ソフィ」ブランドのCM戦略とターゲット分析

ユニ・チャームのソフィブランドは、生理用品CMでありながら「生理を隠す・恥ずかしい」文化から「生理と向き合い、ケアする」文化への転換を長年訴えてきたブランドです。池田エライザさんを起用したスポーツ系CM、吉田美月喜さんのおでかけショーツCMなど、それぞれのシーンで「制限されない女性のライフスタイル」を描いてきた実績があります。

今回の「ソフィBe」はアプリという新しいプロダクトの訴求であり、ターゲットは「PMSの症状はあるけどそれがPMSだと気づいていない」または「PMSを知っているが記録・管理するという発想がなかった」20〜30代の女性と考えられます。

この層にリーチするためには、「PMSがある人向けアプリです」という直接訴求より、「こういう体験、心当たりありませんか?」という問いかけ型の訴求の方が有効です。彼氏への高圧的な態度という分かりやすいシーンを起点にすることで、「自分もこういうことあるな」という気づきを生み、アプリへの動線を作る設計になっています。

彼女役・湯川ひなさんとは?「演技が上手い」と話題になる理由

「このCMの彼女役、誰?」という検索が一定数発生しているのが、湯川ひな(ゆかわ ひな)さんです。

2001年2月26日生まれの25歳(2026年3月時点)、東京都世田谷区出身の女優で、現在はcotorito株式会社に所属しています。

湯川ひなさんの経歴——なぜ「演技が上手い」と感じさせるのか

湯川さんのキャリアの起点は2014年のミサワホームCMでのデビューですが、特筆すべきは2016年の短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』で主演を務め、第33回サンダンス国際映画祭の短編部門でグランプリを受賞したことです。サンダンスは世界最大規模のインディペンデント映画祭の一つで、日本作品の短編グランプリ受賞は当時初めての快挙でした。

その後も、WOWOWオリジナルドラマ「FM999 999WOMEN’S SONGS」で連続ドラマ初主演、舞台「BLINK」「スカパン」などの重要な役どころを経験しています。学習院大学フランス語圏文化学科を卒業しているという知的なバックグラウンドも持ち、2023年には自ら会社を設立するなど、俳優としてのキャリアを独自に切り開いてきた自律した活動スタイルが特徴的です。

舞台出身の俳優らしい身体表現の豊かさと、内面の感情を微細な表情で伝える繊細さが、このソフィBeCMで遺憾なく発揮されています。「いらない!」という台詞一言の中に、怒りと戸惑いと自分自身への困惑が混在するという複雑な演技は、長年の舞台経験から培われた引き出しがあってこそでしょう。

視聴者が「嫌悪感」を覚えるほどリアルな演技——それは褒め言葉

このCMへの「見ていてイライラする」「不快感がある」という反応の多くは、湯川さんの演技の完成度に直結しています。「見ていてモヤッとする」という感情が生まれるのは、演技がフィクションの域を超えてリアルに刺さっているからです。

もし演技が薄く「いかにもCMっぽい」仕上がりだったなら、視聴者はスルーします。「なんか嫌だった」「彼氏が可哀想で気になった」という感情が残るのは、湯川さんが演じる彼女の感情が本物に見えたからです。嫌悪感は演技の質が生んだ副産物であり、それはある種、最高の証明とも言えます。

  • 2014年 ミサワホームCMでデビュー
  • 2016年 短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』主演・サンダンス映画祭グランプリ受賞
  • 2021年 WOWOWドラマ「FM999 999WOMEN’S SONGS」連続ドラマ初主演
  • 2023年 個人会社cotorito株式会社を設立・自律したキャリア形成へ
  • 2025年 ソフィBe CM「正体不明のイライラ」篇出演

彼氏役・長友郁真さんについて

彼氏役を演じる長友郁真(ながとも いくま)さんは、1993年5月9日生まれ、愛知県出身の俳優(2026年3月時点で32歳)。劇団ハイバイ出身で、NHK大河ドラマ「どうする家康」やNetflix「地面師たち」など多数の作品に出演する実力派俳優です。同じくユニ・チャームのムーニーCMにも出演しており、ナチュラルで日常的な雰囲気を醸し出せる俳優としての起用が続いています。今回の朝ごはんを差し出す”善良な彼氏”という役どころも、長友さんの素朴で誠実な印象がよく合っています。

まとめ:「不快」な広告が問いかけるものの大きさ

ソフィBe CM「正体不明のイライラ」篇をめぐる反応は、「不快」「嫌悪感がある」という批判と「刺さった」「彼氏に見せた」という共感が鮮明に分かれました。しかし両者に共通するのは、あのCMの場面が頭に残っているという事実です。

「嫌だった」と感じた人も、「なぜあの彼女はあそこまで高圧的なのか」「PMSってそういうことなのか」と思考した瞬間、ソフィBeというアプリとその目的を理解しています。不快感を引き金に「PMSとは何か」「ソフィBeとは何か」という問いを生み出すこのCMの構造は、生理・PMSという話題が依然として周囲との共有がしにくいテーマであることを逆手に取った設計とも言えます。

湯川ひなさんの「見ていてモヤッとするほどリアルな演技」は、このCMの肝でした。嫌悪感を生むほどのリアリティを持った演技があって初めて、このCMの訴求力は成立します。批判も共感も、すべてがソフィBeの「ホルモンと体調の関係を見える化する」というコンセプトを届ける燃料として機能している——そう考えると、あの不快な30秒は実に計算された30秒だったと言えるでしょう。

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