1966年の発売以来、日本を代表するお菓子として愛され続けるポッキー。その成功を支えてきたのは、時代を象徴するトップスターたちによるCM戦略でした。

山口百恵さんから始まり、松田聖子さん、菊池桃子さん、そして新垣結衣さん、有村架純さん、そして最新の白本彩奈さんまで。50年間にわたって築き上げられたスターキャスティングの系譜は、単なる商品PRを超え、時代の文化現象を生み出してきました。

本記事では、歴代の出演者たちがポッキーブランドにもたらした影響と、その背景にある巧妙なマーケティング戦略について詳しく解説していきます。

出演者一覧

出演者 出演時期 主な特徴・共演者
栗田ひろみさん 1973年~1974年(推定) 初期CM
岡田奈々さん 1975年~1980年
山口百恵さん 1975年~1977年 ポッキー・オン・ザ・ロック
西村克己さんと共演
倉田まり子さん 1979年
松田聖子さん 1980年~1985年 5年間の長期起用
菊池桃子さん 1985年
本田美奈子さん 1986年
南野陽子さん 1987年
森高千里さん 1989年~1990年 アーモンドクラッシュポッキー
吉田栄作さん 1989年
牧瀬里穂さん・加藤紀子さん 1992年(秋~冬) 共演
ポッキー4姉妹 1993年~1995年 牧瀬里穂さん・清水美砂さん
今村雅美さん・中江有里さん
松雪泰子さん 1995年 シリアルポッキー
吉川ひなのさん・鳥羽潤さん 1996年~1998年 共演
常盤貴子さん・椎名桔平さん 1996年~1998年 共演
奥菜恵さん・安藤政信さん 1996年~1998年 共演
本上まなみさん 1998年~1999年
田中麗奈さん 1999年
末永遥さん・池内博之さん 1999年
妻夫木聡さん 1999年~2000年、2005年 2度の起用
EARTH 2000年
モーニング娘。 2000年~2004年 4年間の長期起用
優香さん・戸田和幸さん 2002年 ポッキーG
ゆず 2003年
石原さとみさん 2004年~2005年
松浦亜弥さん 2004年~2005年
柴咲コウさん 2004年~2005年
仲間由紀恵さん 2004年~2005年
オセロ 2005年 ポッキーデコレ
新垣結衣さん 2006年~2007年
岡田将生さん 2007年~2008年 メンズポッキー
忽那汐里さん 2008年~2009年
IMARAUさん・益若つばささん 2009年
大杉漣さん 2009年 メンズポッキー
YMO 2010年
二宮和也さん 2011年
三代目J soul Brothers 2015年 武田玲奈さんと共演
南沙良さん 2021年 宮沢りえさん・大倉孝二さんと共演
有村架純さん 2022年9月~ 佐久間由衣さんと共演
白本彩奈さん 2025年9月5日~ スチャダラパー・なきごとと共演
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時系列で振り返るポッキーCMの歴史

創成期(1970年代):アイドル黄金時代の礎

  1. 栗田ひろみさんによる初期CMでブランド基盤を構築
  2. 岡田奈々さんの5年間起用でアイドル路線を確立
  3. 山口百恵さんの「ポッキー・オン・ザ・ロック」で話題性を獲得
  4. 西村克己さんとの共演で男女ペアCMの原型を形成
  5. 倉田まり子さんで時代の変化に対応した多様性を演出

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
栗田ひろみさん 15歳~16歳 新進女優として注目
岡田奈々さん 16歳前後 キャンディーズ解散後のソロ活動期
山口百恵さん 16歳~18歳 絶頂期の国民的アイドル
倉田まり子さん 20歳 清純派女優として人気

この時代はポッキーCMの基礎を築いた重要な期間でした。特に山口百恵さんの起用は、後のスターキャスティング戦略の原点となり、商品の認知度を飛躍的に向上させました。

黄金期(1980年代):アイドル全盛とブランド確立

  1. 松田聖子さんの5年間という異例の長期起用
  2. 菊池桃子さん、本田美奈子さんら80年代アイドルの代表格を次々起用
  3. 南野陽子さんで「スケバン刑事」人気と連動したタイアップ効果
  4. 森高千里さんの「アーモンドクラッシュポッキー」で商品バリエーション戦略
  5. 吉田栄作さん起用で男性タレントの可能性を拡大

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
松田聖子さん 18歳~23歳 80年代アイドル界の絶対的女王
菊池桃子さん 17歳 「青春」のブロマイド女王
本田美奈子さん 18歳 ロック調アイドルの先駆者
南野陽子さん 19歳 「スケバン刑事」で社会現象級人気
森高千里さん 21歳~22歳 個性派アイドルとして確立

松田聖子さんの5年間起用は、ポッキーブランドにとって決定的な転換点となりました。彼女の圧倒的な人気により、ポッキーは単なるお菓子から「憧れの象徴」へと昇華したのです。

また、森高千里さんの「アーモンドクラッシュポッキー」CMは、商品の多様化戦略と連動した先進的な取り組みとして業界内で高く評価されました。

多様化期(1990年代前半):グループ戦略と複数起用

  1. 牧瀬里穂さん・加藤紀子さんの初の女優ペア起用
  2. 「ポッキー4姉妹」という革新的なグループCM戦略
  3. 牧瀬里穂さんを軸とした継続性と新規性の両立
  4. 清水美砂さん、今村雅美さん、中江有里さんの個性を活かした役割分担
  5. 3年間のシリーズ展開で話題の継続性を実現
出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
牧瀬里穂さん 24歳~27歳 トレンディドラマの代表格女優
加藤紀子さん 22歳 清楚系女優として人気上昇中
清水美砂さん 21歳~24歳 実力派若手女優として注目
今村雅美さん 13歳~14歳 アイドル女優として活躍
中江有里さん 18歳~21歳 知的な魅力で話題の新人女優
ウサギさん
ポッキー4姉妹って画期的だったよね!それまでは1人か2人だったのに、4人のキャラクターを使い分けるなんて
カエルさん
牧瀬里穂さんが中心にいることで安定感もあったし、視聴者が自分に近いキャラクターを見つけられる戦略だったんだろうね

この時期の最大の革新は「ポッキー4姉妹物語」でした。牧瀬里穂さんを中心とした4人の女優による群像劇は、それまでの単独起用から一歩進んだ戦略として業界に大きなインパクトを与えました。

多様化期(1990年代後半):俳優ペア戦略の確立

  1. 松雪泰子さんの「シリアルポッキー」で大人向け商品戦略
  2. 3組の俳優ペアによる同時期展開という前代未聞の試み
  3. 吉川ひなのさん・鳥羽潤さんの若者向けカジュアル路線
  4. 常盤貴子さん・椎名桔平さんの大人向け上質路線
  5. 奥菜恵さん・安藤政信さんのクール系路線での差別化

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
松雪泰子さん 23歳 実力派女優として評価確立
吉川ひなのさん 17歳~19歳 ギャル系ファッションモデルの代表
鳥羽潤さん 21歳~22歳 若手イケメン俳優として注目
常盤貴子さん 24歳~26歳 「愛していると言ってくれ」で絶頂期
椎名桔平さん 33歳~34歳 個性派俳優として確固たる地位
奥菜恵さん 17歳~19歳 透明感のある美少女として人気
安藤政信さん 24歳~25歳 「キッズ・リターン」で注目の実力派

この時期の戦略はターゲット層の細分化でした。3組のペアがそれぞれ異なる年齢層・嗜好性の消費者にアプローチする、極めて現代的なマーケティング手法が導入されました。

特に常盤貴子さん・椎名桔平さんペアは、大人の恋愛をテーマにした上質なCMとして話題を集め、ポッキーの大人向けイメージ拡張に大きく貢献しました。

転換期(1990年代後半〜2000年代前半):新世代スターの発掘

  1. 本上まなみさんの知的で上品なイメージでブランド格上げ
  2. 田中麗奈さん、末永遥さんらフレッシュな新人女優の起用
  3. 妻夫木聡さんの2度起用で男性タレント戦略の成功例を確立
  4. EARTHによる音楽グループ起用の実験的取り組み
  5. モーニング娘。の4年間起用でアイドルグループ戦略の完成

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
本上まなみさん 24歳~25歳 京大出身の知的タレントとして話題
田中麗奈さん 19歳 新進女優として注目上昇中
末永遥さん 18歳 清楚系新人女優
池内博之さん 23歳 若手実力派俳優として評価
妻夫木聡さん 19歳~21歳、25歳 「オレンジデイズ」等で大ブレイク
モーニング娘。 平均18歳~22歳 J-POPアイドル界の頂点

モーニング娘。の4年間起用は、ポッキーCM史上最も成功したアイドルグループキャスティングでした。メンバーの入れ替わりとともにCMも進化し、常に新鮮な話題性を提供し続けました。

妻夫木聡さんの2度起用(1999-2000年、2005年)は、男性タレントの効果的な活用方法として業界の注目を集め、後の男性キャスト戦略の礎となりました。

多角化期(2000年代中盤):多ジャンル同時展開

  1. 優香さん・戸田和幸さんの「ポッキーG」でスポーツ界との連携
  2. ゆずによる音楽アーティスト起用で楽曲とのタイアップ効果
  3. 4人の人気女優同時起用という前例のない大規模戦略
  4. 石原さとみさん、松浦亜弥さん、柴咲コウさん、仲間由紀恵さんの個性活用
  5. オセロによる「ポッキーデコレ」で商品バリエーション戦略の進化

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
優香さん 21歳 バラエティタレントとして絶頂期
戸田和幸さん 26歳 サッカー日本代表の中心選手
ゆず 北川悠仁27歳、岩沢厚治29歳 「栄光の架橋」でNHK紅白出場
石原さとみさん 17歳~18歳 「水着の女王」として大ブレイク直前
松浦亜弥さん 18歳~19歳 ハロープロジェクトのエース格
柴咲コウさん 23歳~24歳 「GOOD LUCK!!」でトップ女優へ
仲間由紀恵さん 25歳~26歳 「TRICK」「ごくせん」で国民的人気

2004年から2005年にかけて4人の人気女優を同時起用するという、ポッキーCM史上最大規模のキャスティングが行われました。石原さとみさんの清楚な魅力、松浦亜弥さんのアイドル性、柴咲コウさんの知的さ、仲間由紀恵さんの親しみやすさという、それぞれの個性を活かした戦略でした。

この時期の成功により、ポッキーは「どの世代にも愛される国民的お菓子」としてのポジションを不動のものにしました。

個性化期(2000年代後半〜2010年代前半):ダンス文化との融合

  1. 新垣結衣さんの「天使すぎる可愛さ」で社会現象を創出
  2. 岡田将生さんの「メンズポッキー」で男性向け商品戦略を本格展開
  3. 忽那汐里さんのダンスCMでSNS時代の話題性を先取り
  4. IMARAUさん、益若つばささんのギャル系キャスティング
  5. 大杉漣さん起用で幅広い年齢層への対応を実現

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
新垣結衣さん 18歳~19歳 「恋空」「ドラゴン桜」で絶頂期
岡田将生さん 18歳~19歳 次世代イケメン俳優として大注目
忽那汐里さん 17歳~18歳 オーストラリア出身の話題の新人
IMARAUさん 21歳 レゲエシンガーとして活躍
益若つばささん 23歳 ギャルモデルのカリスマ
大杉漣さん 58歳 名バイプレイヤーとして確固たる地位

新垣結衣さんの起用は、ポッキーCM史上最も大きな社会的インパクトを与えました。「ガッキーのポッキーCM」として語り継がれ、CMそのものが文化現象となりました。

忽那汐里さんのダンスCMは、後のSNS時代における「バズる」CMの先駆けとなり、YouTubeでの再生回数も記録的な数字を達成しました。

多様性期(2010年代):音楽界との本格連携

  1. YMOというレジェンド級アーティストの起用で話題性を最大化
  2. 二宮和也さんのジャニーズ起用でファン層拡大
  3. 三代目J soul Brothersと武田玲奈さんの音楽×ビジュアル戦略
  4. 長期間のブランク後の慎重なキャスティング戦略
  5. それぞれが異なる年齢層・嗜好層をターゲットとした精密な設計

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
YMO 坂本龍一58歳、高橋幸宏69歳、細野晴臣63歳 日本音楽界の最高峰グループ
二宮和也さん 28歳 嵐のメンバーとして絶頂期
三代目J soul Brothers 平均年齢25歳 LDH系グループの代表格
武田玲奈さん 17歳 グラビアアイドルとして大注目

YMOの起用は業界に大きな衝撃を与えました。音楽界の伝説的グループを起用することで、ポッキーブランドに格式と革新性を同時に与える戦略でした。

二宮和也さんの起用は、ジャニーズタレントの効果的な活用例として注目され、特に女性ファン層の獲得に大きく貢献しました。

また、三代目J soul Brothers、武田玲奈さんの起用も大きなインパクトを与えました。

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現代回帰期(2020年代):新時代への適応

  1. 南沙良さん、宮沢りえさん、大倉孝二さんの3世代共演という革新的試み
  2. 有村架純さん・佐久間由衣さんの親友同士キャスティングで自然な魅力を演出
  3. 白本彩奈さん、スチャダラパー、なきごとの多ジャンル融合で新境地開拓
  4. コロナ禍を経た新しいコミュニケーション様式への対応
  5. SNS時代に適応したバイラル性重視の戦略転換

出演者 出演時年齢 当時の人気・地位
南沙良さん 19歳 「約束のネバーランド」で注目の若手女優
宮沢りえさん 48歳 実力派女優として不動の地位
大倉孝二さん 47歳 個性派俳優として幅広く活躍
有村架純さん 29歳~ 朝ドラ「ひよっこ」で国民的女優へ
佐久間由衣さん 25歳~ 「チア☆ダン」で注目の実力派
白本彩奈さん 26歳 舞台女優として実力派の評価

ウサギさん
最近のキャスティングって世代を超えた共演が多いよね!南沙良ちゃんと宮沢りえさんの組み合わせなんて斬新すぎる
カエルさん
有村架純さんと佐久間由衣さんも実際の友人同士だから、自然な掛け合いが魅力的なんだよね。時代とともに求められる「リアルさ」も変わってる

2021年の南沙良さん起用は、3世代が共演するという前例のない試みでした。10代の南沙良さん、40代の宮沢りえさん、大倉孝二さんという組み合わせは、家族的な温かさと現代的なコミュニケーションを同時に表現しました。

有村架純さんと佐久間由衣さんのコンビは、実際の親友関係を活かした自然な演技が話題となり、SNSでの拡散効果も抜群でした。特に若年層からの支持が高く、ポッキーの現代的なイメージ刷新に大きく貢献しています。

そして2025年9月から始まった白本彩奈さん、スチャダラパー、なきごととの共演は、舞台女優×ヒップホップ×バンドという異色の組み合わせ。白本さんの舞台で培った表現力と、音楽グループとのケミストリーが新たなポッキーCMの可能性を示しています。

→ ポッキーのCM女優2025|赤い服で踊る女性タレントは誰?

CM戦略の分析と評価

キャスティング戦略の巧妙さ

ポッキーのキャスティング戦略は、時代の半歩先を読む絶妙なタイミングで展開されてきました。単なる人気タレントの起用ではなく、そのタレントが持つイメージとポッキーブランドとの親和性を綿密に計算した結果です。

特筆すべきは長期起用と短期起用のバランスです。松田聖子さんの5年間、モーニング娘。の4年間のような長期起用でブランドイメージを定着させる一方、話題性重視の短期起用で常に新鮮さを保ってきました。

商品戦略との連動性

森高千里さんの「アーモンドクラッシュポッキー」、松雪泰子さんの「シリアルポッキー」、優香さんの「ポッキーG」など、新商品展開とキャスト戦略が完璧に連動してきました。

これは単なる偶然ではなく、商品開発段階からキャスティングを想定し、そのタレントのイメージに最適化された商品づくりが行われている証拠です。

文化的影響力の創出

ポッキーCMは単なる商品広告を超え、日本のポップカルチャーの一部として機能してきました。新垣結衣さんの「ガッキー現象」、忽那汐里さんのダンス、モーニング娘。の楽曲など、それぞれがその時代の文化的アイコンとなっています。

特に「11月11日ポッキーの日」の定着は、商品PRを超えた文化的イベントとしての地位を確立し、SNS時代においても毎年大きな話題となっています。

→ ポッキー歴代CMソング完全ガイド~45年間の名曲と音楽戦略の軌跡~

まとめ:ポッキーCM戦略の卓越性

ポッキーのCM戦略が他社と一線を画するのは、一貫したブランドフィロソフィーを持ちながらも、時代に応じて柔軟に進化し続けている点です。

山口百恵さんの時代から白本彩奈さんの現在まで、「親しみやすさと特別感の両立」という核となるコンセプトは変わらず、表現方法だけが時代とともに進化してきました。

また、キャストの成長とブランドの成長をリンクさせるという長期的視点も特筴的です。多くのタレントがポッキーCM出演後に大ブレイクしており、「ポッキーCM出演=スターダムへの登竜門」という認識すら生まれています。

ウサギさん
50年間のCM戦略を振り返ると、本当に時代を先読みする力がすごいよね。SNSが普及する前からバズる要素を取り入れてたし
カエルさん
しかも単発で終わらせず、必ず次の展開につなげる戦略的な視点があるんだよね。一つ一つのキャスティングが全体のブランド戦略の一部になってる

現在の白本彩奈さん、スチャダラパー、なきごととの共演も、この伝統的な戦略思想を受け継ぎながら、新たな時代への適応を図る試みです。舞台女優、ヒップホップ、インディーバンドという異なるジャンルの融合は、多様化する現代の価値観を反映した革新的な取り組みといえるでしょう。

50年間で築き上げられたポッキーCMの系譜は、日本のマーケティング史においても貴重な成功事例として、今後も研究され続けることは間違いありません。

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