江崎グリコの看板アイス「牧場しぼり」は、2002年の発売開始以来、多くの著名人がCMに出演し話題を呼んできました。
新鮮なミルクの魅力を伝えるというコンセプトのもと、時代を代表するタレントたちが起用されてきた背景には、グリコの戦略的なマーケティングがありました。
本記事では、牧場しぼりのCMに出演した全キャストを時系列で振り返りながら、それぞれの起用背景や当時の反響を詳しく分析していきます。石原さとみさんから始まった女優路線、東方神起による韓流戦略、そして現在の黒木華さんに至るまで、各時代のマーケティング戦略の変遷も合わせて解説します。
豪華キャスト陣が織りなす20年間の軌跡を通じて、日本のCM業界における成功事例としての牧場しぼりCMの魅力に迫ります。
目次
歴代出演者一覧
出演時期 | 出演者 | 年齢(出演時) | 主な特徴 |
---|---|---|---|
2009年 | DAIGOさん | 31歳 | ロック王子として人気絶頂期 |
2009年4月〜 | 石原さとみさん | 22歳〜 | 初代女優イメージガール |
2010年〜 | 常盤貴子さん | 38歳〜 | 大人の女性路線への転換 |
2012年〜2014年 | 東方神起 | 24歳〜26歳(ユンホ) 22歳〜24歳(チャンミン) |
K-POPブーム全盛期 |
2015年 | EXILE TAKAHIROさん | 31歳 | 男性ボーカリスト起用 |
2017年4月〜 | 高畑充希さん | 25歳〜 | 朝ドラ主演女優として話題 |
2020年3月〜 | 寺田心さん | 11歳〜 | WebCM限定出演 |
2021年5月〜 | 本郷奏多さん | 24歳〜 | WebCM限定出演 |
2024年5月〜 | 黒木華さん | 34歳〜 | 現在のイメージガール(2025年時点) |
時系列で振り返る牧場しぼりCMの歴史
第1章:黎明期(2009年〜2011年)
DAIGOさん(2009年)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 1978年4月8日 |
出演時年齢 | 31歳 |
主な活動 | BREAKERZ、バラエティタレント |
話題性 | 「ウィッシュ!」でブレイク中 |
2009年に起用されたDAIGOさんは、当時「ウィッシュ!」で大ブレイクしていた時期でした。ロック王子として絶大な人気を誇り、バラエティ番組でも活躍していた彼の起用は話題性抜群でした。
牧場しぼりCMでは、彼特有のキャッチーなキャラクターを活かしたユニークな演出が印象的でした。
石原さとみさん(2009年4月〜)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 1986年12月24日 |
出演時年齢 | 22歳〜 |
主な代表作 | 「Ns’あおい」「失恋ショコラティエ」 |
出演時状況 | 若手女優として急成長期 |
石原さとみさんは牧場しぼり初代女優イメージガールとして起用されました。当時22歳の彼女は、清純派女優としてのポジションを確立しつつある時期でした。
CMでは彼女の自然な笑顔と親しみやすさが前面に押し出され、牧場しぼりの「新鮮さ」というイメージと見事にマッチしていました。この起用により、牧場しぼりのブランドイメージが大幅に向上したと評価されています。
常盤貴子さん(2010年〜)
項目 | 詳細 |
---|---|
生年月日 | 1972年4月30日 |
出演時年齢 | 38歳〜 |
主な代表作 | 「ひとつ屋根の下」「ビューティフルライフ」 |
ポジション | 大人の女性路線への転換点 |
常盤貴子さんの起用は、牧場しぼりのターゲット層を大人の女性にシフトする戦略的な判断でした。90年代から活躍する実力派女優として、より幅広い年齢層への訴求を狙いました。
彼女の上品で洗練されたイメージは、牧場しぼりの高品質なアイスというポジショニングを強化することに成功しました。CMでは大人の女性が楽しむプレミアムなひとときを演出し、ブランド価値の向上に大きく貢献しました。
第2章:多様化戦略期(2012年〜2016年)
東方神起(2012年〜2014年)
項目 | 詳細 |
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グループ構成 | ユンホ、チャンミン(2人組) |
ユンホ | 1986年2月6日生(出演時26歳〜28歳) |
チャンミン | 1988年2月18日生(出演時24歳〜26歳) |
活動拠点 | 韓国・日本 |
時代背景 | 第2次韓流ブーム全盛期 |
東方神起の起用は2012年から2014年まで3年間継続され、K-POPブーム全盛期における戦略的なキャスティングでした。当時の日本では第2次韓流ブームが巻き起こっており、特に若い女性層からの絶大な支持を集めていました。
CMでは2人の圧倒的なビジュアルと歌唱力を活かした楽曲も制作され、ファンの間で大きな話題となりました。この起用により、牧場しぼりの認知度は特に10代〜20代女性の間で飛躍的に向上し、売上にも大きく貢献したとされています。
EXILE TAKAHIROさん(2015年)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 1984年12月8日 |
出演時年齢 | 31歳 |
所属グループ | EXILE、EXILE THE SECOND |
ポジション | メインボーカリスト |
EXILE TAKAHIROさんは2015年に「生乳たっぷり」編のCMに出演し、男性ボーカリストならではの魅力を発揮しました。EXILEの中でも特に歌唱力に定評がある彼の起用は、音楽性を重視したCM戦略の一環でした。
CMでは優しく温かみのある歌声で牧場しぼりの魅力を歌い上げ、従来とは異なるアプローチで消費者にアピールしました。男性アーティストの起用により、これまでリーチしにくかった男性層へのアプローチも狙った戦略的キャスティングでした。
第3章:現代的アプローチ期(2017年〜現在)
高畑充希さん(2017年4月〜)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 1991年12月14日 |
出演時年齢 | 25歳〜 |
主な代表作 | 「とと姉ちゃん」「過保護のカホコ」 |
ブレイク作品 | NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」主演 |
高畑充希さんは2016年のNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」主演で国民的女優の仲間入りを果たした直後の起用となりました。女優業だけでなく、舞台や歌手活動でも高い評価を受けるマルチタレントとしての魅力が評価されました。
CMでは「新鮮アイス」篇などが制作され、彼女の表情豊かな演技力が存分に発揮されました。しかし、一部では演技が印象的すぎるという声もあり、SNSで賛否両論を呼ぶなど話題性も十分でした。
寺田心さん(2020年3月〜WebCM)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 2008年6月10日 |
出演時年齢 | 11歳〜 |
主な活動 | 子役、タレント |
特徴 | WebCM限定出演 |
寺田心さんの起用は、WebCM限定という新しいアプローチでした。子役としてバラエティ番組で人気を集めていた彼の自然な可愛らしさが、家族層へのアピールに効果的でした。
WebCMという媒体を活用することで、ターゲットを絞った効率的な宣伝を実現し、従来のテレビCMとは異なる戦略を展開しました。
本郷奏多さん(2021年5月〜WebCM)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 1996年11月15日 |
出演時年齢 | 24歳〜 |
主な代表作 | 「3年A組」「僕だけがいない街」 |
ポジション | 若手実力派俳優 |
本郷奏多さんは、子役時代から活動を続ける実力派若手俳優として起用されました。WebCM限定の出演ながら、彼の持つ繊細な演技力と親しみやすいキャラクターが評価されました。
SNS世代をターゲットとしたデジタルマーケティングの一環として、効果的なキャスティングとなりました。
黒木華さん(2024年5月〜現在)
項目 | 詳細 |
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生年月日 | 1990年3月14日 |
出演時年齢 | 34歳〜 |
主な代表作 | 「舟を編む」「凪のお暇」 |
受賞歴 | 日本アカデミー賞新人俳優賞 |
現在のイメージガールである黒木華さんは、演技派女優として高い評価を受けています。映画やドラマで見せる自然体の演技力と、親しみやすい人柄が牧場しぼりのコンセプトと非常に合致しています。
2025年4月には「似てきたね」篇が公開され、牧場主役での熱演が話題となりました。彼女の丁寧で温かみのある演技は、牧場しぼりの「新鮮で心温まる」というブランドイメージを効果的に表現しており、現在も高い人気を維持しています。
牧場しぼりCM戦略の分析
1. キャスティング戦略の秀逸さ
牧場しぼりのキャスティング戦略は、時代のトレンドを巧みに捉えたものでした。初期は話題性を重視し、中期には多様化戦略で幅広いターゲットにアプローチ、そして現在は実力派俳優を起用してブランド価値の向上を図っています。
- 各時代の話題の中心人物を的確に起用
- 異なるジャンルのタレントを組み合わせてシナジー効果を創出
- WebCMとテレビCMを使い分けた効率的な展開
- 長期的なブランドイメージの構築を意識したキャスティング
- ターゲット層の変化に合わせた柔軟な戦略転換
2. ブランド価値向上への貢献
各キャストの起用により、牧場しぼりのブランド価値は段階的に向上してきました。特に石原さとみさんの起用以降、女性層からの支持が大幅に向上し、東方神起により国際的な認知度も獲得しました。
現在の黒木華さんの起用では、演技力と親しみやすさを兼ね備えた彼女により、より幅広い年齢層から愛されるブランドとしてのポジションを確立しています。
3. 市場戦略の巧妙さ
牧場しぼりの市場戦略は、異なるセグメントを同時攻略する巧妙なものでした。単一のターゲットに固執せず、時代の変化とともに新しい市場を開拓し続けています。
WebCMの活用により、コスト効率を保ちながらニッチなターゲット層にもリーチできる現代的なアプローチを実現しています。
総評:牧場しぼりCMの成功要因
戦略の一貫性と柔軟性
牧場しぼりのCM戦略で最も評価すべき点は、ブランドイメージの一貫性を保ちながら、時代の変化に応じて柔軟にキャスティングを変更してきたことです。
「新鮮なミルクの美味しさ」という核となるメッセージは変えずに、それを伝える人選を戦略的に変更することで、常に消費者の関心を引き続けてきました。
話題性とブランド価値のバランス
単純な話題作りではなく、長期的なブランド価値向上を意識したキャスティングが秀逸でした。一時的な注目だけでなく、起用したタレントの成長とともにブランドも成熟していく戦略は、他の商品のCM戦略の模範となっています。
デジタル時代への適応力
近年のWebCM活用は、コスト効率と効果の両立を実現した画期的な取り組みです。テレビCMだけに頼らず、ターゲットに応じてメディアを使い分ける現代的なアプローチは、今後のマーケティング戦略の参考になるでしょう。
今後への期待
- 黒木華さんの継続起用による更なるブランド価値向上
- SNS時代に対応した新しいCM展開の可能性
- 海外市場を視野に入れたグローバル戦略の展開
- サステナビリティを重視した新しいメッセージ性
- 次世代タレントの発掘と育成への貢献
牧場しぼりは今後も、時代を先読みしたキャスティングで消費者を魅了し続けることでしょう。これまで20年近くにわたって築き上げてきた豪華キャスト陣による軌跡は、日本のCM史においても特筆すべき成功事例として記憶されることになるはずです。
現在の黒木華さんから次のキャストへの継承も含め、牧場しぼりのCM戦略から今後も目が離せません。